薪ストーブを導入するにあたって
薪がパチパチと音を立てながら炎がゆらゆらと燃えている。
家中を温めて、料理も出来て、優しい木の香りがして、煙もほとんど出なくて自然環境にも優しい。
炎を眺めながら好きな音楽を聴いたりして、ゆったりとした時間を過ごすことが出来る。
なんてイメージを持たれている方も多いと思います。
確かにその通りではありますが、それは全て良い条件が整った場合のお話です。
例えば薪の乾燥が不十分であれば、上手く燃えてくれず煙が多く発生しますし暖かくもなりません。
本体や煙突の設置にしても、壁や可燃物からの距離、煙突の高さ、経路は適正であるかなど、様々な要素をクリアする必要があるのです。
何かとイメージ先行で語られやすい薪ストーブですが、導入してから『こんなはずじゃなかった……』なんてことにならないように
正しい知識を身に付けることが重要です。
そもそも薪ストーブとは
鋳鉄、鋼板などで出来た箱の中で薪を燃やし暖を取る道具です。
一見原始的な装置のようですが、燃焼効率を高めるために給気のバランスや空気の流れ、排煙を抑えるための機能など、
たくさんのテクノロジーが詰まっています。
薪ストーブ本体に煙突を接続し、本体から取り入れた空気を燃焼させ屋外へ排気する換気装置の側面も持っています。
薪ストーブは熾火や鋳鉄から放射される輻射熱により暖めますので、石油やガスストーブ、エアコンのような排気熱とは違い、
身体の芯からぽかぽかとするような柔らかくて心地よい暖かさが特徴です。
薪が持つエネルギーを最大限熱に変換するための機能が詰まった技術の結晶なのです。
薪ストーブ・暖炉について
電気を使わず、薪を燃やして暖を取ることが出来る薪ストーブや暖炉。
最近ではナチュラル志向、エコへの取り組みなどから雑誌やテレビなどでも特集を組まれることが増え、話を耳にしたり目にする機会も増えてきているように思います。
ゆらゆらと燃える炎を楽しむという点ではどちらも同じようなものに思えますが、そもそも薪ストーブと暖炉の違いってあるの?
といった疑問を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
ここではそれぞれの違いやメリット・デメリットについてまとめてみたいと思います。
薪ストーブと暖炉の違い
薪ストーブは本体である鉄製の箱に煙突を接続し、家の壁などからは独立し露出した状態で設置します。
火室は密閉されており、効率よく燃焼させることにより輻射熱を発生させて暖めます。
対して暖炉は壁に埋め込むなどして設置します。
本体・煙突は露出していないため、お部屋のインテリアと一体化させることが出来ます。
火室は基本的にオープンで密閉されておらず、直接炉の中で揺れる炎を見て楽しめます。
天井から吊り下げる釣鐘式と呼ばれる暖炉もあります。
薪ストーブのメリット・デメリット
薪ストーブの大きな特徴として、火室が密閉されていることが挙げられます。
空気の供給をコントロールし、過燃焼を防止するだけでなく、熱を閉じ込め、より効率よく暖房効果を得ることが出来ます。
暖炉に比べて暖かく、薪の消費も抑えることが出来るほか、排煙も少ないことが特徴です。
また壁から独立して設置することが可能なため、設置場所も比較的自由に決めることが出来ます。
デメリットとしては、壁から露出しているのでどうしても場所を取り、夏場など必要のないシーズンであっても
簡単にしまったりすることが出来ないことです。
より高い暖房能力と実用性を追求して薪ストーブは作られています。小さなサイズであってもその暖房能力は他の暖房器具をはるかに凌ぎます。
暖炉のメリット・デメリット
基本的に壁に埋め込むため部屋の中で場所を取らずに済むことと、暖炉の周りを自由にデザインすることができるため
非常にインテリア性が高いと言えます。
直接燃えている炎を見ることができ、木がパチパチはぜる音や香りをダイレクトに楽しむことが出来ます。
炎を家族や友人たちと囲んで食事をしたり語り合ったりする時間は何物にも代えられない価値があると思います。
デメリットとしては、密閉されていないため空気がどんどん入り込んでしまうため、薪の消費が激しいことと、
温まった空気もそのまま廃棄されてしまうため比較的暖房効率が低く排煙も多くなりがちであることが挙げられます。
暖炉には給気のコントロールが可能なタイプも存在します。
薪ストーブや暖炉のメリットデメリットをしっかりと理解したうえで、どちらがより設置するお家に適しているか検討してみましょう。